「何かあったのか」

隼人さんは火傷の手当てをしながら、私に訊ねる。
その言葉に私はびくっとする。

「え?なんで」

「表情が暗いから。学校で何かあったのか」

「…」

言えない。
先生に抱き締められたなんて。

「何にもないよ~!気のせいだって」

「嘘だろ」

「…っ」

隼人さんはバサッと言いきる。
そりゃあ、わかるよね。


「…雄飛と何かあった?」

“雄飛”という名前に反応してしまう。

ああ。

隼人さんは、何でもお見通しだね。
隠したって、バレちゃうよね。

「…偶然2人きりになっちゃって。隼人さんとうまくいってるか聞かれた。
そして…隼人さんじゃなくて僕じゃだめかって言われた」

先生と交わした会話の内容を正直に話した。
けど、私が泣いてしまったことは言えなかった。

「…そうか」

まただ。
また、隼人さんに悲しい顔をさせてしまった。
私、いつもそんな顔をさせてばかりだね。