玄関の扉が開く音がして、キッチンに立っていた私は急いで濡れた手を拭いて、玄関へ続く扉を開ける。 「おかえりなさい、隼人さん」 「ただいま」 私は鞄を受け取って、靴を脱いで廊下を上がった隼人さんはいつものように私を抱き締める。 「今日はカレーを作ってくれたのか?」 「うん。においでわかった?」 「無理して料理を作らなくていいんだぞ。"受験生"なんだから」 「息抜きよ。食べる用意するから、手洗ってきて!」