次の日の朝。



「残念な報告があります。昨日の放課後、2階にある女子トイレの壁にカッターらしきもので"死ね"と書いてあった事が分かりました。くだらないイタズラはもう2度とないように。心当たりのある人は先生の所に来なさい」



…何も知らないくせに。何がくだらないイタズラだよ?

だけど葵に深々と頭を下げられるとどうしても言えないでいる。


はぁ…アタシ、どうしたらいいの?

葵の望み通りに隠せばいいよね…?

アタシの立場だったら、多分葵と同じように隠すかも知れないし…


どうしたらいいか分かんないよ…

アタシ勝手に悩んでいたら…




「祐華〜!先生が呼んでるよ」



クラスメートの子が教えてくれた。クラスメートの子が言うには、 家庭科室に先生が待ってるんやって。



「失礼します、1年2組の河野祐華です」



先生、どうしたんですか?

こんなに怖い顔にして…



「今から聞きたい事がある。正直に話してくれないか?」



そこまでにして怖い顔にされると、1人で焦って身体が震えてしまう。



「は、はい…」



「実は、昨日河野さんが女子トイレから出て行ったのを見かけた生徒がいる」



え?アタシ、疑われてるよね…?



「こんな時間に学校に残ったのは河野さんだけだった」



いや、信用はしてくれないんだ。



「アタシじゃないんです」



アタシじゃないのは確か。

だけど、葵がやったって事は 勿論言わないつもりだった。



「そうか。念のために持ち物を確認させてくれ。まずはポケットからだ」



…昨日の出来事は、始まりにしか過ぎなかった。