「あれ乗ろうぜ」
ですよね。健永くんはホントに空気読めない。
アタシたちが向かったのは、室内ジェットコースター。
ちょっと暗いだけで激しい乗り物じゃないからまだイケる方!
「ねね、ペアどーする?」
アタシは勿論、葵と乗ると思ってたら…
「お先に〜」
えっ?ま、待ってよ!?
「俺だと嫌なのか?」
神谷くんとは何回会っただけで、あまり接点がないし、彼のことはほとんど知らない。
「い、嫌じゃない」
アタシは神谷くんとペアになった。
神谷くんと並んで自分たちの番が来るのを待った。
「何、ボーッとしてんの?そろそろ来るぞ」
「あっごめん」
神谷くんと横に並んで乗り物に乗った。
「なぁ、好きな人いんの?」
い、いきなり!?てか違うでしょ。
「話が違うじゃん!神谷くんの好きな子を教えてくれる約束だよ?」
室内は真っ黒でみんなが顔をうつ向け、お通夜のようになっていた。
「…目の前にいる子」
目の前にいる子…?
神谷くんの目の前にいる子は葵だ。
「葵なの?」
だからか!葵が神谷くんの好きな人を知ってるかもって言ってたわけか。
「ちげーし。好きな子はお前だし」
なら、言い方が間違ってるじゃん。アタシだったら"隣にいる子"でしょ!
ってアタシ!?
「冗談やめてよ!」
「信じてくれんの?」
いやいや、いつもアタシに冷たいから…
でも、嬉しい。アタシも神谷くんの事が好き。
「で、お前の好きな人誰?」
その時…
「あはは。何2人とも真剣な顔にして〜」
健永くんと葵に勝手に喜ばれてる…
って終わったかい!
4人は出口に向かった。
「ねね、どうなった?いい感じやったんでしょ?」
葵に満開の笑顔で聞かれた。
「神谷くんがアタシのこと好きって言ってくれたの」
最初は神谷くんのことが苦手だったのに…
「アタシも神谷くんの事が好き」
「それ、ちゃんと本人に言った?」
「ううん…」
「まじかよ。いつに言うん?」
「…明日」
「明日ぁ!?今すぐ言いなさい」
え、今?そんなの無理だよ。
だけど言わなきゃ後悔する。
アタシだって信じられない。
神谷くんの事を好きになるなんて…
自分から直接に伝えるのは今までに無かった。
もし神谷くんに気持ちを伝えられたら、神谷くんが初めてになるんだよね。
頑張れ、アタシ。
「うん。わかった」
