「ありがとうございました。」



「気にするな、今日はゆっくり休め。」



ぐぅぅぅ



まるで返事のように私のお腹がなる。



そ、そういえば晩御飯…食べてなかったっけ?



するとクロウさんは笑って私を部屋へ招いた。



クロウさんの部屋は黒がメインでとても落ち着いている部屋だった。



綺麗に整理整頓もされていた。



「ほら、これでも食え」



そう言ってクロウさんが差し出したのは紅茶とカップケーキだった。



「わぁ、美味しそうですね!



これ、どうしたんですか?」



「…作った。」



と言うことは手作り。



こんなものを作れるなんて、思ってもいなかった。



「すごいですね、実は私…料理とかできないんですよねぇ」



「すごくはないと思うが…。



そうなのか?俺は料理が趣味だったりするからな。」



意外だった。



クロウさんが料理趣味なんて。



クロウさんって無口でクールで、最初は怖そうなイメージだったけど、結構優しいし、心を開けば、喋ってくれる。



少しクロウさんのことが知れたような気がして嬉しくなる。



「いただきます」



私はカップケーキをパクッと口の中に入れた。



甘い味が口いっぱいに広がる。



「美味しいです!」



こんなに美味しいのは食べたことがない。



「そうか…」



少し照れたように頰が赤くなっている。



こうやってみると、クロウさんって結構可愛かったりする。



本人には言えないけど。



私は紅茶も飲む。



落ち着くな〜



でも、吸血鬼とはやっぱり信じられない。


でも、だから一瞬で現れたりしたのもわかる気がするし、傷が治ったのが何よりの証拠だ。



「ごちそうさまでした。」



時計はもう3時だった。



5時間も経過していたのか…。



「それでは、部屋に戻りますね。



今日は本当にありがとうございました。」



「あぁ。ゆっくり休め。」



そう言って私はクロウさんの部屋から出る。



私は自分の部屋に戻るなりベッドにダイブする。



ベッドにダイブする習慣のようなものがついてしまっているな〜。



「つ、疲れたぁー」



私は目を閉じてそのままグッスリと眠った。