カーライル公爵は慈善事業として、ある孤児院への寄附を定期的に行っている。その孤児院でも秋まつりの一環として芝居や歌などの催しを行い、毎年公爵はそこに招かれているのだ。レオンは、公爵の代理として時折準備の様子を見に孤児院を訪れている。


「いえ別に気になっているわけでは。それに、もう一度その方に会えるとも限りませんし」

「それもそうだな。しかし俺も少し気になることがあって……あれは……」

 レオンも何か考え込んでしまう。ローズは、自分の鼓動が速くなっているのを感じた。

 気にならないわけがない。もしかしたら、レオンが見たのはベアトリスかもしれないのだ。