罪あることの荒唐

「さあ。西の国へ!」

 意気揚々とツムが声を張る。

「ユタ殿」

「ん?」

 呼び止められて振り返る。

「ツム──さまを助けてくださり、ありがとうございます」

「いや、あれは俺が……」

「いいや。貴殿は間違いなく、ツムさまを助けてくださった」

 追っ手は確実に王女に近づいている。あのまま村にいれば、見つかっていたかもしれない。

「これはまさしく、運命ではないかと私は考えている」

「運命ねえ」

 そんなもの、信じちゃいないが──

「とりあえずは、タメ口に慣れろよ」

「了解した」

 ジルの教育は大変かもしれないとユタは口元を緩ませた。




END

こう‐とう〔クワウタウ〕【荒唐】
[名・形動]《「荒」も「唐」も大きく、広い意》言うことに根拠がなく、とりとめのないこと。また、そのさま。