眠り姫と総長様 Ⅲ


「んっ……」


身じろいだ振動で目が覚める


未衣は無意識だろうが、俺の洋服にしがみついてピッタリ密着して気持ちよさそうに寝ていて思わず頬を緩めた


起こさないようにそっと腕を頭の下に通して腕枕をしてさらに引き寄せた


はぁ…可愛すぎだろ



例え、今回の抗争の指揮を取っていて

世間からは血も涙もないような残酷な人間だと言われて

本気を出したらきっと俺よりも強くて

組一つ潰すのなんて簡単に出来るだけの権力を持っていて

雅さんとの……自分の弱味も過去も未だに話してくれなくても


俺にとっては、今腕の中で眠る未衣が

誰よりも可愛くて、ただただ愛おしい

それだけだ


俺は、俺が見てきた"姫野未衣"だけじゃなくて

"篠原未衣"も受け入れなければならない


未衣が俺とどこか心の中で一線を引いて踏み込ませないのは、きっとそういうこと