益田剛が動きを見せたのはあれから1週間後だった


「お嬢、」

「しーくんどうしたの？」

「益田が動きました」

「…なにしたの」


一瞬で目つきが鋭くなったお嬢から溢れ出る殺気


なにしたの、と聞く辺り大体は察しがついているんだろう


「金で雇われた族が今龍神の倉庫に襲撃しているみたいです」

「そう。わかった。」

「え、それだけ？」

「湊達を潰せるわけないからね」

「ならそろそろ会いに行ってやっても…」

「忙しいからそれは出来ないね」

「作ろうと思えば時間なんていくらでも作れますけどね」

「…しーくん仕事行くよ！」

「はーいはい」


お嬢は、時々なにを考えているのか分からない


あのガキが大好きで懐いてるように見えて完全に心を許してなくて、肝心な事を話せない

どこかいつもあのガキ共と線引きをして、お嬢の根っこに踏み込ませないようにしている

無意識なのか意図的なのかは知らないけど、どっちにしてもあのガキ共が可哀想なことに間違いはないだろう