「秦、帰る」

「はーい」


しーくんじゃなくて秦、って俺のこと呼ぶのがその証拠


「お嬢、そういえばガキ共と連絡取ってるの?」

「取ってないよ。それどころじゃないし」

「もう少し構ってあげないと愛想尽かされても知らないよ?」

「……その時はその時だと思ってる」

「お嬢、それはさすがにあいつらが可哀想」

「私、湊達に益田が危害与えたらなにするか分からないよ?」

「そりゃそうだけどさ〜」


こないだの八弥さんの件もそうだけど、お嬢が心の何処かであいつらと距離を取っているのは明確で。


理由はなんとなく分かる


篠原組のお嬢だから。自分と組長の過去をあいつらにまだ話せてないから。いつ嫌われてもいいように自己防衛


だから、こうして定期的にあいつらと精神的じゃなくて物理的な距離すらも
置いているんだと思う

って長年の俺の勘は正しいはず



まぁ、あいつらの事考えると不憫で仕方ない