眠り姫と総長様 Ⅲ



ー「もしも〜しお嬢どうしました〜?」

「今すぐ迎えきて!」

ー「え?大丈夫?とりあえず5分で行きます」


仕事中のしーくんに電話をすれば、いつもと様子が違う事に気づいたのかすぐに来てくれた


トイレではだけた制服と髪の毛を少し直して門に行けば、既にしーくんの車があった


車に乗ると

「未衣、おかえり」

「……はっちゃん」

何故だか後部座席に今出来れば会いたくなかったはっちゃんが乗っていた


驚いて立ち尽くしていると、ぐいっと引っ張られて車に入れられた


「ちょうど秦さんと仕事してたんだ。未衣の様子がおかしいっていうから一緒に来たんだけど……もしかして泣いたの?」

「っ……」


引っ張られたことでバランスを崩してそのままはっちゃんの胸にダイブ

大きな腕があたしの身体を包んだ


「制服、シワになってるよ。髪の毛もボサボサ。なにがあったの?未衣」


涙ではっちゃんの洋服を濡らしながら、無言で首を横に振り続けるあたしをはっちゃんは抱き締め続けてくれた