眠り姫と総長様 Ⅲ



気付けば外も暗くなり、本格的に活動をし始めた夜の街


「未衣様よ!」
「八弥様と一緒だわっ!」
「帰って来られたのね!」
「美しいっ…」
「見て、八弥様が笑ってる!」
「未衣様も楽しそうよ!」
「仲がよろしいのねっ!」


いつもと変わらない周りの話し声


「未衣、」

「ん?」


はっちゃんはそんな周りからの好機の目を知ってか知らずか、あたしの腰を引き寄せた


「はっちゃん…」

「ごめんね、こうした方が誰も近付かないから」


申し訳なさそうに眉を下げて謝るはっちゃん


久しぶりの帰還に、ただでさえ浮き足立ってる夜の街

そんなはっちゃんとお近づきになろうと、話し掛けるタイミングを狙っている夜の女の子達


「今日だけだよ?」


あたしが隣を歩けば誰も話し掛けてこないことを分かってて利用する


可愛いドレス買ってもらったし、ちょっとしたお返しに良しとした



……まぁ、言わずともこれが大きな間違いだったんだけど