眠り姫と総長様 Ⅲ



学校に着いて空き教室に行くと、既にみんながいた


「みんなおはよ〜」

「未衣おっは〜」

「未衣ちゃんおはよ〜!」

「未衣ちゃんおはよ」


昨日寝るのが遅かったからか、ふぁ〜とあくびが出る


「湊おはよ」

「………」

低血圧で朝から不機嫌そうな表情の湊の隣に座って顔を覗き込む


「湊?」

「知らねえニオイがする」

「へ?」

「嗅いだ事ねぇ香水。誰のだこれ」


首筋に顔を近づけて匂いを嗅ぐ湊に、やましいことなんてないのに一瞬心臓がバクバクした


「し、しーくんが香水変えたからじゃない?」

「…ならいい」


慌てて答えると、あたしを持ち上げて自分の膝の間に座らせた湊


お腹に腕を回されガッチリガードされて身動きが取れない


「あー!また未衣ちゃんとイチャイチャしてる!」

「陸、毎回突っかかってちゃキリがねえだろ」

「湊ばっかずるいじゃんか〜」

「照れてる未衣ちゃんってほんと可愛いよね」


りっくん達を無視して、モゾモゾと動き回るくすぐったい湊の手から頑張って逃げようとする


「湊くすぐったいよぉ、」

「ん?」

「うひゃっ…!」

「可愛い」

「もうやだぁっ…」

「だめ。もう少し」

「あぅぅ」

「そんな可愛い声出してもだめ」


時折素肌に触れる少し冷たい湊の手にビクンと身体を揺らせばキスが落ちてくる


こーちゃん達もいるのに、これはなんの罰ゲームなんだろうか