案の定、裏門の前で待ち伏せしていた昨日と同じ女
「あっ!湊おかえりぃ〜!」
甘ったるい声を出して彼女ヅラが出来る神経が俺たちには分からない
「未衣、ごめんな?」
「うふふ。湊、あたしに任せてね?」
珍しく素直に謝る湊に、楽しそうに笑ってみせた未衣ちゃんと予想外の反応にポカン、とする俺たち
いつの間にか女が俺たちの目の前にいた
「湊!誰よその女!!」
女から未衣ちゃんの顔はちょうど見えないらしい
ギロリと敵意剥き出しで未衣ちゃんを睨む女に、本気で殺意が湧いた
「舞か?」
「なんで私の名前知ってんのよ!……って未衣様!?」
いつもより低い未衣ちゃんの声
ヒョコっと湊の背後から顔を出せば、女の顔は青ざめていった
「久しぶりだね、元気にしてる?」
「も、勿論です!それより未衣様はどうしてここに?」
「私、ここに通ってるの。湊から舞が来るって聞いたから久々だし顔出そうと思って」
「み、未衣様お会い出来るなんて嬉しい限りでございますっ!」
「それより湊に用事あった?」
プライドの高そうな女が、未衣ちゃんのことを未衣様と呼ぶ
なによりも俺たちに見せてた傲慢な態度でなく明らかに低姿勢で、なんなら未衣ちゃんを目の前にして目を輝かせている
……情報が渋滞しすぎて頭が追いつかない
湊も湊で不思議そうに目の前の光景を見ていた
"任せてね"ってこういう意味か
普段可愛すぎて忘れてるし、未だに信じられないけど未衣ちゃんってアッチの世界で相当な権力者なんだよね、?


