海side


仕事の未衣ちゃんを見送って車が止まる裏門付近に行くと、見慣れない私服の女が立っていた


髪の毛をガッツリ巻いて露出の高い服装、化粧も厚くてなにより香水臭い


女を視界に入れた瞬間、

「吐きそう…」

湊が立ち止まって口元を押さえた


「湊大丈夫か?」

「学校戻る」

「車のほうが近いだろーよ」

「無理。学校。」

「はあ?」


あきらかに不自然な湊に航輝が難を表す


「あ!湊ぉ〜!!おかえりぃ!!」

「……」

「おい湊、あれ誰だよ」

「…昨日の女」

「「「なるほどな」」」


一瞬で全員察した


「おいコッチくるぞ!あの女」


死んだ顔の湊を揺さぶる航輝に、未衣ちゃんが居なくてある意味良かったかもしれないと思った


「湊ぉ、デートしなぁい?」

「………」

「あ、湊のお友達?こんにちはぁ」


甘ったるい作られた声で俺たちに話しかけてくる目の前の女に、心底吐き気がした


こりゃ湊がああなるわけだ