眠り姫と総長様 Ⅲ


幹部室に行くとすでに海が飯を用意してくれていて、席に着くなりすぐに食べた。

サラダにスクランブルエッグにフレンチトースト

未衣がいなくちゃ確実に出てこないであろうメニューだ。


「これ全部海くんが作ってくれたの~?」

「スクランブルエッグは俺だけど、フレンチトーストは航輝ですよ」

「未衣好きだろ?帰ったらまた忙しくなるだろうから久々に作ってみたんだよ」

「あたしこーちゃんのフレンチトースト大好き!」

「知ってるっつーの」


航輝の作ったものを美味しそうに食べるのは気に食わないが、あいつなりの気遣いだしムカつくが仕方がない。


「湊も食べる?こーちゃんのフレンチトーストすごく美味しいんだよ?」

「いや、遠慮しておく」


美味しいのに~と言いながら口いっぱいに頬張って食べる未衣に、帰ってほしくない気持ちが顔を出す。