食事が終わって海がいつも通り珈琲を淹れてくれた


「あのね、」


あえて触れないでいた話

最初に切り出したのは未衣だった


「みんなを巻き込んでごめんなさい」


頭を下げて謝る未衣の手には力が入っていた


「んなこと気にするなよ〜」

「そうだよ未衣ちゃん!あんな雑魚に負けるわけないし!」

「頭を上げて下さい未衣ちゃん」

「でも…」

「未衣のせいじゃねぇだろ」

「龍神が狙われてるのは私のせいなの」


たしかにハッキリと、そう言った

敵の弱みや大切な物・人が狙われるのはこの世界ではよくある話

「俺は、未衣の大切なものが俺たちだって認識してもらえてるのが嬉しい」

「そういう問題じゃ…ううんなんでもない」

なにかを言いかけて口を閉じた

未衣の大切なものが俺たちであると周囲に認識されている限り、どんな形だろうと未衣は絶対俺たちから離れられない

そう、それでいい

この前の敵襲を知ってる辺り、どうせ組員を使って会ってなかった間も俺たちを監視して報告させてたんだろう

俺だったら絶対そうするから想像はつく


いつも勝手に黙って姿を消そうと、未衣は俺たちが自分の弱みであると知られている以上護る対象として完全に縁を切ることも居なくなることもない


心のどこかで一線を引かれていようとなんだろうと、俺は未衣が離れない理由があるだけでしばらくは十分だ