「……秦さんが、落ち着くまでに未衣と会える唯一のチャンスかもしれねぇって気利かせてくれた。だから責めないでやってくれ」
「わかってる……ごめんね巻き込んで」
俺の腕の中に収まる未衣の後頭部を撫でながら、あえて顔を見ないで話す
「面子だけで倒せるような雑魚をわざわざ金で雇うなんて、相当見る目ねえんだな」
「まぁね。毎日正面から攻撃してくるような馬鹿な考え方しか出来ない連中だからね」
「それのせいで休みが全くねえと」
「組員も毎日駆り出されて処理してる。でも、それが自分達の首を絞めてるって気付いてないから着々と向こうは数が減ってきてる。」
「その隙を狙って、か」
「派手な動きをしなければね」
「なにか心当たりでもあんのか?」
「……益田剛は組ってより、きっと私を倒せるなら手段を選ばない。こないだのが良い例」
「そういうことか」
組の話になると、頭がいつもより回る


