天然たらしが本気を出す時。


「な、ななせくん?」


慌てて七瀬くんの体を押してみるけど、ビクともしない。

飛行機の肩乗り事件といい今回のことといい七瀬くん意外と力つよいよね。


…ってそうじゃない!



「いきなりどうしたの!」

血迷ったか!


あたふたする私に対し
七瀬くんはとても落ち着いていて。






私の顔の横に肘を置き頭を撫でながら

「橘さん」

少し低めの声で私を呼ぶ。










「は、い」


「俺は可愛いなんて橘さんにしか言わないよ」


「……」









「好きな子にしか、言わない」







サラリと私の髪を撫でる七瀬くんがとても色っぽくて思わず固唾を呑んだ。







「ちゃんと理解してくれた?」


「は、い」


「ん、よかった。で、このまま続きする?」










ニヤリと意地悪げに笑う七瀬くんを



「す、す、るわけあるかああああああ!!!」




全力で押し返した。