天然たらしが本気を出す時。








「あ、七瀬くん。おはよう」

電車に乗ると丁度七瀬くんがいて声をかける。



「おはよう、なんかすごい疲れてる、ね?」


「走ってきたからかな?朝倒れてる人がいて声かけてたら時間ギリギリになっちゃって」


「そうなんだ、大丈夫だった?」


「うーん、どうだろう。足から血出てたし…」


「大事ないといいね」


「そうだねえ」




と、そんな話をしてると次は恐怖の▽○駅だ。


この駅から尋常じゃない数の人が電車に乗り込んでくるのだ。


そして▽○駅につき電車の扉が開く。

と同時に流れるように入ってくる人。人。人。





「橘さん、大丈夫?」


「…うん、大丈夫、」





………嘘です、大丈夫じゃないです。

何が大丈夫じゃないかって、七瀬くん。君だよ!

近い近い近い…!



いつも他の人だと気にならない距離が今は凄く気になる。


そりゃあそうだよ、同学年の男子。しかも何かいい香りのする美少年なんだから!





「ごめん、橘さん。少し我慢して」


「いや、こちらこそごめん…」





ああ、七瀬くんに至近距離で顔見られてる…。


毛穴大丈夫かな、メイク崩れてないかな。


だめだ、こんなに近くに美少年がいると酸素が吸いにくい。



酸欠になる。早く着いて…。