でも

「行かないよ」

と首を振った七瀬くんに

「行かなくて大丈夫なの?」

と、心配してるようなことを言いつつ
ホッと安堵してる自分に少し嫌気がさした。



「わざわざ俺が行く必要ないと思うし」

「そっか…」


「それに橘さんとの時間を
邪魔されたくないんだよね」

「え?」









「コウもだいぶ楽しみにしてたけど
俺も楽しみにしてたんだよ」





そして、ポンっと私の頭に置かれた手。





「せっかく可愛くセットしてあるから崩さないように気をつけなきゃね」





と言いながら優しくポンポンと手を動かす。












ーーーーーーわたし、、
私、本当に七瀬くんのことが好きだ。








本当は、帰りに言うつもりだった。



コウくんもいるし、今はタイミングとしては良くないのかもしれない。




でも、今伝えたい。



……七瀬くんが好きだと、ちゃんと伝えたい。

タイミングなんかもうどうでもいい。








しっかりと七瀬くんの瞳を見つめ、



「……七瀬くん、あのね……」



大きく深呼吸をした。








ーーーーその時だった。











ピロリンピロリンッ


さっきと同じ着信音が二人の間に鳴り響いた。