天然たらしが本気を出す時。


「麻里ちゃん!」

彼女の近くに行き名前を呼べば、あちらもこっちに近づいてきてくれた。



「七瀬くんと話してたの?」


きょとんとした表情でそう言う麻里ちゃん。



「うん。あとあの作戦、七瀬くんには意味ないなと思ったからやめるね」

せっかく考えてくれたのに申し訳ない。


「………」


そして少しの沈黙のあと



「小菜ちゃんがそう思うなら
それでいいと思うよっ」



とにこりと笑い、そう言った麻里ちゃん。


とりあえず、放課後が楽しみだ。

















「急にごめんな」

夕日に照らされる背の高い彼。

もとい、元私が気になっていた彼。

そして現在麻里ちゃんの彼氏の彼。



「大丈夫だよ」


放課後、七瀬くんと帰るのを楽しみにしていたら、今度は堀北に呼び出されたのだ。


ちなみに七瀬くんは先生から用事を頼まれて職員室にいる。



でも、どうしたんだろう?

堀北と話すなんて、麻里ちゃんと堀北の3人で話した時以来だ。

前は堀北と一緒の空間にいるだけで、緊張してたのに今はまったくしない。


…恋に落ちるのは一瞬というけど
冷めるのも一瞬なんだなあ。





「えっと、その。…中野さんのことなんだけど…」

少し言いづらそうに視線を私からそらす堀北。

中野さん……麻里ちゃん?
彼女のことで話ってこと?




「…最近中野さん、七瀬と仲いいだろ…?」


その言葉に少し考えてみる。

……確かに
最近あの二人はよく話している…と思う。






「それで、そのことを中野さんに言ったら、橘の恋に協力するためだって言われて…」



そうなんだよ。

麻里ちゃんが七瀬とよく話しているのは、私のため…なんだと思う。多分。

協力すると、とても意気込んでいたし。