その間にも視線を感じ、このままでは新たなる噂が広まってしまう。

ひとり焦っていると、彼が笑って私に声をかけた。


「俺についてきて。
目立たない場所、行こうか」


ここは彼についていくしかない。
先生からの伝言を聞くためだ。

きっと先生は賢く真面目な彼を信頼して、伝言を頼んだに違いない。


「お昼は食べた?」
「う、ううん…食べてない」

「それなら早く、話終わらせないといけないね」


その言葉に少なくとも安心した私。

早く終わらしてくれるということは、この間のようなことはないのだと思ったからだ。

この前のように押し倒されて、それからキスだって───


「……っ」


何を思い出しているんだ、私。

恥ずかしくなって熱くなる顔を隠すよう、少し俯いて彼の後ろについていく。