「でも、キスは本当に嘘で…」
「あとは本当なの?」

「あっ…」
「正直者の白野さんは本当に罪深い女だね」


その時、神田くんが私の腕を力強く引いた。


何も構えていなかった私はバランスを崩し、神田くんの元へと倒れ込んでしまう。



「あっ、神田くん怪我が…」

今もまだ安静にしないといけないというのに。


「うるさいよ。
今から白野さんは俺に好き勝手やられるの」

「好き勝手……だ、ダメです!怪我してるのに」
「嫌だよ、俺が決めたら」

「絶対ダメ!」

「わがままになっていいんだよね?今俺怪我してるから、わがまま言わせて」



ずるい、ずるい人。
ここに来てそれを言うだなんて。


「わ、がままはいいけど…自分はちゃんと大切にして」

「うん、これから大事にする」
「じゃあダメ」


「今は大丈夫だって自分が一番わかってるから。白野さんのおかげでちゃんと自分の体を管理しようって思えたんだよ」


私が顔を上げると、目を細めて笑いながら私の頭を撫でる神田くん。



「本当…?」

「うん、本当だよ。正直今までは自分の命を軽率に考えていたから」

「……っ、もうダメだよ」

「白野さんに怒られちゃったから、もうその考えはやめる。死んだら白野さんと一緒にいられないからね」


今度は顔を近づけ、私に額をくっつける彼。