「そうだよな、今嫌がるのは仕方がない。
だって俺のこと兄としか見てないもんな」

「お兄ちゃんはお兄ちゃんだもん…」

「違うよ、未央。必ず男として見てもらえるだろうから。俺が必要な体に育てればいい」


今度は私の首筋に唇を当てられたため、縛られた両手首で必死に押し返すけれど。


「この手は邪魔だな」


お兄ちゃんの力に敵うはずもなく。
その手は簡単にどかされてしまった。

そのまま首筋に舌を這われ、嫌でも反応してしまう自分が憎くなる。


「や、あっ…」

声をあげて嫌がり体をよじれば、お兄ちゃんは小さく笑いながら離れてくれた。


「これでわかっただろ?体は正直なんだよ。嫌でも感じたら未央の負けだ。いつか俺が必要と思う日がくる」

「やだよ…お兄ちゃん、目を覚まして……」

「目を覚ますのは未央のほうだ。でもあいつを消すまできっと、それが叶わないんだろうな」


そう言ってお兄ちゃんは後ろに手をやったかと思うと、何やらカチャッと音が鳴って嫌な予感がした。

そしてその手が前に戻ってきた時、手に持っているものを見て私は言葉を失ってしまった。



「これであいつの息の根を止めてやるからな」
「……だ、ダメ!」

咄嗟に出た拒否の言葉。


だってお兄ちゃんの手にあるのは、テレビとかでよく見る“拳銃”だったから。


「お願い、殺さないで。神田くんを殺さな…んんっ」


本当にダメだと。

それだけはダメだと思い、お兄ちゃんに訴えようとしたら塞ぐようにして唇を重ねられてしまう。


「未央はいい子だから、あいつを庇うようなことをしたらどうなるかわかってるよな?

次庇ったら舌入れて、その次は脱がすから」


ゾクッとした。
お兄ちゃんの目に光はなく、本気の目をしていて。

怖い、怖くて震えが止まらなくなる。