「……どう、して…」
「ついには俺を避けるくらいまでになっちゃったんだね。他の男になびいて」
「……っ、そんなこと…」
ひどく冷たい声が心に刺さる。
痛い、苦しい。
「嘘つく必要ないよ」
「嘘じゃ、ない…」
私の好きな人はいつだって神田くんで、彼以外に興味はないというのに───
「神田くんが他の女の人のところ行った…」
私から離れて宮橋先生のところに行った。
神田くんは私のことなんて何とも思っていなかった?
こんなこと言えば面倒くさがられるとわかっているのに、言葉が止まらなくて。
涙ぐみながら神田くんに思いをぶつける。
「宮橋先生と、体の関係持ったんでしょう…?」
それを宮橋先生の口から聞いてショックだった。
信じたくなかったけれど、あの日空き教室でふたりの会話を聞いていたから。
まったく動じていなかった神田くん。
きっと慣れているのだろう。
もし感情がなかったとしても、それを受け入れられるほどの心を私は持っていない。
それに神田くんは自ら宮橋先生のところへ行って───
「……そうだって言ったら?」
開き直ったわけでも、冷静さを失ったわけでもない。
ただいつもより低い声で話す神田くんは、ずっとずっと冷たくて。
そんな中で肯定に近い返答をされ、素直に心が傷ついてしまう。
ズタズタにされたような気分になり、気づけば涙が零れ落ちそうになっていた。
けれど泣いたらダメだと思い必死で我慢する。
涙を拭って堪えていると、神田くんが小さく笑った。
それも優しいものではなく、冷たい笑いで。



