闇に溺れた天使にキスを。





「もうやだ…」


ただ涙を流すことしかできなくて。
涼雅くんは複雑な表情で私を見つめていた。

きっと迷惑をかけている。


わかっているのに涙は収まってはくれない。



「本当に辛くて嫌なら、ちゃんと言葉にしたほうがいい」


ふと、涼雅くんの声のトーンが落ちて。
真剣なものへと変わる。


「拓哉と俺から関係を絶って逃げろ。
……でも、それでいいのか?お前は楽になる?」



そっと、優しく頭に手を置かれる。
ここ最近ずっと涼雅くんに甘えてばかりの私。

きっと甘えるだけじゃ何も変わらない。
本当に嫌なら、涼雅くんの言う通り関係を絶てばいいだけ。


けれど、そんなの無理だ。

わがままだとわかっているけれど、ふたりから関係を絶つことなんてできない。



そのため首を横に振る。
関係を絶ったところできっと何も変わらない。

逃げた証が残るだけで、結局意味なんてない。


「ほら、わかってんだろ?
なら最後まで逃げずに向き合えよ。

辛いだろうけど、いつか必ず楽になる日が来るから」


「ほんと…?」
「ああ。俺が保証してやる」

「じゃ…頑張る」


今の私が信じられるものは涼雅くんの言葉だけ。

それが事実なのか、励ましの言葉かはわからないけれど。


「それでこそお前だ」
「うん…」

「それに案外、早く終わりそうだし」
「……へ」


涼雅くんは私を見て一度、ニヤリと笑みを浮かべて。



「思いのほか効果抜群だったようだぜ」


その声は揚々としている。

けれど私は意味がわからないまま、この話は終わってしまった。