闇に溺れた天使にキスを。




「バカなやつ」
「……っ」

「俺が泣かせてるって思われるから泣くのはやめろよな」

「わ、わかってるもん…」


一度ぎゅっと目を閉じて心を落ち着かせる。
ここで泣いたら周りも誤解して当然だろう。

必死で涙を堪えてから、またお弁当を食べ始める。


今日は大好きなハンバーグが入っており、神田くんと初めてお昼を食べた日も入っていたなと思い出す。

そしてだし巻き卵を私が食べさせたんだ。


逆に神田くんからはアスパラベーコンを食べさせてもらった。


胸がドキドキとうるさくて、恋人みたいだと余裕のある表情で言われて。

忘れられない神田くんとの思い出。
忘れられるはずがない。


こんなにも好きなのに。
この気持ちは届かない。


「なんかお前見てると腹立ってくるな」
「へ……」

「何も説明しようとしねぇ拓哉に」


少し不機嫌になる涼雅くんは、すべてを知っているような言い方をしている。


「……理由があるの?」

もしそうだったときたら聞きたいと思った。



「さあな。そのうちわかるだろ」
「でも、何も知らないから辛くてっ…」

「はいはい、わかったから泣こうとするな」


涙が目に浮かび視界が歪む中、頭に涼雅くんの手のひらが置かれた。


「うう……」
「泣き虫」

「だって」
「今視線感じてるんだから耐えろよ」


涼雅くんの手が下へとおりていき、私の目の下を親指で優しく触れた。


「それとも泣くか?」
「……泣かない」

「この涙こぼれたら抱きしめるからな」
「な、んで…」

「俺が泣かせたと思われないように」



そこまで言われてしまえば我慢するほかないと思い、必死で涙を堪える。


「よし、偉い偉い。よく耐えたな」


最終的に頭を撫でられ、なんとか泣かずに済んだ。


今回も涼雅くんに助けられたなと感謝しながら、視線が感じる中で私たちはお弁当を食べすすめた。