結局涼雅くんは嘘に嘘を重ね、周りには“一途に私を想っている”という風に捉えられてしまった。
けれど周りだけが動揺したり騒いだりして、神田くんはいつもと変わらない様子。
本を読んでおり、私たちに視線を向けようともしない。
それが悲しくなって、苦しくなって。
泣きそうになるけれどその度に涼雅くんが絡んできた。
まるで私の感情をすべて読み取っているかのように。
「腹減った。今日一緒に飯食おうぜ」
お昼休みは涼雅くんに誘われ、ふたりでお弁当を食べることになった。
本当は沙月ちゃんと食べると言って断ろうとしたけれど、その前に沙月ちゃんが『私は彼氏と食べる!』と言ったため断れなくなったのだ。
せめて人目のつかないところで食べたいと言ったのに、涼雅くんは教室で食べると聞かなくて。
周りからチラチラと視線が感じる中でお昼を過ごした私。
「拓哉、どっか行ったんだな」
「……うん、多分空き教室に行ったんだと思う」
いつもは教室で食べている神田くんだけれど、ここ最近は教室にいないことが多く。
多分空き教室に行っているのだろうと思った。
だって宮橋先生はもういない。
あの日以来、宮橋先生は学校の先生を辞めたようで、今保健室には臨時の養護教諭の先生が来ている状態だったからだ。
それでも、もしかしたら空き教室で宮橋先生と連絡を取り、様子を確認しているのかなと悪いほうへと考えてしまう。
「空き教室とか使えんだ」
「宮橋先生のおかげだって、言ってた気がする…」
自分で宮橋先生の名前を出しておきながら胸が苦しくなるだなんて、バカみたいなのはわかっているけれど。



