「お前、真面目すぎだろ」
「勉強も遅れちゃうし…」

「そんなの1日くらい大丈夫だろ」
「大丈夫じゃないもん」


今から学校に向かえば、5時間目からでも参加できるだろうか。

けれどここから学校の行き方は知らないため、どうすることもできない。



「別に今日くらいサボろうぜ。
最初で最後のサボり」

「でも…」
「腹減った。そろそろここ出ようぜ」


やっぱりサボるのはどうかと思っていたら、私より先に涼雅くんがベッドからおりる。


「せっかくのサボり記念日だ、どっか美味いもんでも食いに行くか」

「えっと…」
「決まりな。まずは外行きの服買いに行くぞ」

「でも私、財布がなくて……」
「サボらせたのは俺なんだから、責任持って払う」


そんなのさすがに悪い。
昨日も今日も奢ってもらうだなんて。

やっぱり断ろうとしたけれど、私の話を聞くつもりはないのか、洗面所へと行ってしまう涼雅くん。


「あの、涼雅く…」
「次拒否する言葉使ったらその口塞ぐぞ」

「なっ…強引な人」

「昨日の今日だとお前だって気まずいだろ?
拓哉と会うの」


その言葉を最後に涼雅くんは顔を洗い始めてしまう。

どうやら涼雅くんは私のことを考え、サボるという選択をとってくれたらしく。


強引でわかりにくいけれど、涼雅くんなりの優しさなのだと思った。



そしたら迷いが不思議となくなり、今日もまた涼雅くんに甘えようと思う自分がいて。


「……ありがとう」

自然と口からお礼の言葉が出て、私も外に出る準備を始めた。