「……変な涼雅くん」
「もう一回頬つねるぞ」

「や、やだ…」
「嫌なら先に寝る準備してこい」


私から顔を背ける涼雅くんは寝るように促してきて。

先に私は洗面所へ行き、歯を磨いたりブラシで髪を梳かしたりして寝る準備を進める。


「先寝てていいから」


全て終わると交代するようにして、今度は涼雅くんが洗面所へと行き、私はベッドに横になる。

もちろんひとつしかないため、涼雅くんも一緒に寝るのだろうと思っていたけれど───



涼雅くんが隣に来ることはなく、ソファのほうに行ってしまった。


「……涼雅くん」
「うるせぇ、電気消すから寝ろ」


思わず起き上がり涼雅くんの名前を呼んだけれど、うるさいと言われてしまう始末。


「ソファで寝るの…?」
「お前寝相悪そうだからな」

「わ、悪くないよ…?多分」


私のせいでソファに寝られるのはなんだか申し訳ない。



「お前は黙って寝とけばいいんだよ」
「……うん」


けれど涼雅くんは私に何度も寝ろと言うため、諦めて眠る態勢へと入り布団をかぶる。



「…………」


ただ、ひとりでこのベッドは大きすぎるため寂しく感じてしまう。


涼雅くんはすぐそばにいるはずなのに、心細い。



ぎゅっと布団を握り、目を閉じるけれど。

まったく眠れそうになく、むしろ今日一日のことが脳内再生されて泣きそうになってしまうほど。


ただ涼雅くんに迷惑はかけられないし、睡眠の邪魔はできないため、必死で涙をこらえながら耐えていると───



「……はぁ」

遠くで涼雅くんがため息をついた気がした。