「……っ、涼雅く…」
「あー、最悪。拓哉庇う予定なんてなかったのに」


涙を流す私に対し、涼雅くんは頭をぽんぽんしてくれる中、何やら不満気に呟いていた。



「お前見てたら言わざるを得なくなる。本当は弱った心利用して食べてやろうと思ってたのに、お前があまりにも純粋で素直だから」



最終的には諦めたようにため息をついていた。


「まあそういうところに惹かれたんだけど」
「……へ」

「お前みたいな純粋なやつ見てると、自分が黒く思える」


涼雅くんの言葉をひとつずつ、ゆっくりと頭に入れていき、理解しようとしたその時───


まるでそれを遮るかのように、涼雅くんは私の髪をわしゃわしゃと撫でまわしてきた。



「わっ…」

「お前、そろそろ目やばいんじゃねぇの。
真っ赤だけど」

「だって…」


涼雅くんの言葉が本当なら、少しは期待していいの?


「さっきの、言葉はほんと?」
「……嘘って言いたいけどな」

「へ…」
「残念ながら本当」


涼雅くんはなぜか残念だと言うけれど、私にとったら嬉しくて。



「じゃ、信じていい……?」


神田くんの、私に対する思いは嘘じゃなかったんだってことを。


「ああ。じゃねぇとあんな命懸けで守るわけないだろ」

「でも、宮橋先生が優先で…」


自分から言ったくせに、その言葉にひどく傷ついて苦しくなる。


「…はぁ、お前って面倒くせぇやつだな」
「ご、ごめん…」


流石の涼雅くんもこれには呆れたようで、またため息をつかれた。