闇に溺れた天使にキスを。




「それなら、苦しくない方法を教えてあげる」
「へ……」

思わず顔を上げると、少し意地悪そうに笑う彼。
慌てた首を横に振る。


「大丈夫……勢いで言っただけで、苦しくなんかない」

「勢いで言っちゃったの?」
「そ、そうだよ」

絶対不自然に思われてしまった。
けれど嫌な予感しかしなかったから、嘘だと認める他ない。


「そうか、残念だな」
「残念…?」

「俺に抱きついておけば苦しくないだろうから、そうして欲しかったんだけど…」

「ぜ、全然苦しくないよ!本当に大丈夫」


神田くんに抱きつくだなんて、周りにバレたら一大事だ。

神田くんを遠くから見守る女の子たちに、恨まれてしまう可能性もゼロではない。