それからガーゼを剥がすと、痛々しい傷が露わになって。


それも、余分な怪我。
本来ならば負うはずがなかった怪我だ。


「……ごめんね」

ぽろっと、まるでひとり言のように無意識に口から出た謝罪の言葉。


「どうして白野さんが謝るの?」

優しい声が耳に届く。

今の神田くんは穏やかな表情をしてるだろうなって、容易に想像できる声だった。


「だって、私がいるから神田くんが危険な目に…」

「好きな子ひとり守れない、弱い男になんてなりたくないよ。リスクが伴ったとしても俺は白野さんといることを選ぶ」


静かで、落ち着いていて。
迷いのない言葉が心に響く。


「……どうして」

振り絞るようにして出した声は、情けないほど掠れていた。


「好き以外の理由は必要?」

小さく笑いながらも、私を安心させるような言葉をかけてくれる。


けれどそれだけじゃ不安を拭えなくて、自分でも面倒くさい女だってわかりながらも。


「そんなに好きでいてくれるの…?」


こんなにも良いところがない私を、ここまで大事にしてくれるのだろうって。


包帯を巻く手が震える。
涙がじわりと目に浮かんだ。

ダメだ、落ち着くんだと何度も自分に唱える。


「白野さんのすべてに俺は惹かれてる。
純粋なところも、偽りない優しさだって全部。

あ、あとコロコロ変わる表情も愛しいなって思うよ」


最後だけ少し冗談っぽく言われ、涙が頬を伝いながらも笑みが溢れてしまう私。

心がポカポカと温かくなった。