闇に溺れた天使にキスを。




「わ、わかった」


素直に頷き、お母さんに電話をかける。

コール音が聞こえる中、神田くんが私の肩に頭を置いた。


本当に子供みたい。
今日はやけに甘えたがり。


『もしもし、未央?』

少ししてお母さんが電話に出てくれた。


「もしもし、お母さん。
あのね…」


いざ話そうと思うと、なんだか緊張してしまい言葉に詰まってしまう。


『どうしたの?』

「あの、その……今、神田くんの家にいるんだけどね」


恐る恐る、神田くんの名前を出す。
そして泊まることを言おうとしたら───


『えぇ!?神田くんって、未央の彼氏よね!?
もしかして泊まりたいとかそういうこと!?』

「え……」


スマホ越しに荒ぶるお母さん。

きっと神田くんにも聞こえているのだろう、彼は笑いを堪えるようにして少し肩を震わせているのが伝わってくる。


『え、違うの?』
「いや、そうなんだけど…」


まさか当てられるとは思っていなくて、言葉を失ってしまったのだ。


『やっぱり!お母さん挨拶しなくていいの!?』
「あ、あの…それで泊まっていいか確認取ろうと思って…」


『そんなのいいに決まってるじゃない!未央の初めての彼氏なんだがら、泊まりぐらいしないと。でもまだ高校生ってことは覚えておくのよ』


すんなり許しをもらえたことよりも、逆に押されてる気がして戸惑ってしまう。


「う、うん…わかった」

『良樹には友達と泊まりだって言っておくから、安心してね』


最後は幸せに、とだけ言い残して一方的に電話が切られてしまった。