「だ、大丈夫です」
「どうして敬語なの?」

思わず敬語になってしまう私に、彼は小さく笑う。


「えっと、それは……わっ」

その時電車が動き出し、体がふらついてしまう。
思わず神田くんのシャツを掴んでしまった。


「ご、ごめんね」
「白野さんって、危なっかしいな」


そんな私を見て、彼が目を細め笑う。


いつもはこんなことないのに…神田くんの前になると、調子が狂ってしまう。


「ほら、掴んでていいよ」

私が手を離そうとしたから、彼が制するように手首を掴んできて。


「いや、あの…」
「すぐアタフタしちゃうね」
「……っ」


本当に恥ずかしい。

自分でもアタフタしているとわかっているけれど、直接言われてしまえば余計に恥ずかしさが増してしまう。