「あ、あの…」
「だから一緒に行こう」
「え……」
その言葉に固まってしまう私。
だって、神田くんと一緒に学校に行く…?
メガネをかけている彼に、優しい眼差しを向けられる。
これは、断れない。
こんな風に優しい誘われ方をされたら、断れるはずがない。
「あ、えっと…」
ひとり、困惑していたら。
電車がホームにやってきてしまう。
「はい、時間切れ。
もう強制ね」
「わっ…」
優しくて手首を掴まれ、彼は私を電車の中へと連れて行く。
電車の中は、乗り換える前の電車よりも人がいるため、自然とふたりの距離が近くなって。
手首を掴まれた手は離されたけれど、胸がドキドキとうるさくなる。
「人、多いけど苦しくない?」
優しい瞳だったけれど、耳たぶにつけてあるシルバーのピアスが少し危険さを漂わせていた。



