けれどもちろん、いちご飴を3つ全部食べられるはずもなく。
2つ目の途中でリタイアした私。
「もう食べないの?」
「次はしょっぱいもの食べたい」
甘いものを食べた次はしょっぱいものが食べたくなる。
もうこれは太る道へまっしぐらだ。
けれど神田くんの『今日くらいは』を言い訳にして、思う存分食べて楽しもうと思った。
「しょっぱいものか。買いに行こう」
「ポテトもあるし、焼きそばも美味しいよね!」
「目がキラキラ輝いてる。本当にかわいい」
そう言って、神田くんはまた私の手を繋ぎ。
屋台のある通りを一周する。
それからも焼きそばや唐揚げ、わたあめなど、本当に好きなだけ食べた私たち。
私たち、というよりかは私が好きなだけ食べて、神田くんが残りを食べてくれる形だったけれど、彼はそれが良いと言ったのだ。
恐らく私に気を遣ってくれているのだろうということはわかった。
「花火の前にたくさん食べちゃったね」
時計を見れば、花火が上がるまであと5分を切っていた。
「他に食べたいものはないの?」
「あ、私を太らせようとする気だ」
「そんな細い体してるからね、ちゃんと食べてるのか不安になるよ。正直今だってそこまで食べてないし」
「食べ過ぎたくらいだよ、お腹いっぱいだ。
神田くんこそ食べなくていいの?」
神田くんは私なんかよりも、絶対もっと食べるだろうと思った。
「白野さん見てたら胸がいっぱいになって食べられなくなる」
「……何それ、変な神田くん」
私を見るだけで胸がいっぱいだなんて、おかしな表現をするものだ。



