それに、さっき彼は嫉妬と言ったけれど。
それを言うなら私のほうだ。
「神田くんだってかっこいい姿、他の人にたくさん見られてる。私より先に……そっちのほうがずるい」
先ほど思ったことを口にしてみる。
こんなかっこいいのだ、目立たないわけがない。
「もー、そんなかわいいこと言って許してもらおうとか思っても無理だからね」
「本気で思ったの…」
「じゃあお互い様だね。どうしようか、祭りやめてふたりきりになれる場所にでも行く?」
すると神田くんは、いきなり的外れなことを言い出した。
「ま、祭りに行くんだよ…?」
「行き先変更しよう」
「浴衣着たから、他に行く場所なんて…」
「脱げば関係ないよね」
「……っ」
神田くんってもしかしたら、もしかしたらだけれど……見た目によらず変態かもしれない。
結構そういうことをしたがる気がする。
「ダメです」
「あ、伝わった?」
「そ、んなの…ちゃんと伝わりました!」
「こういうのには鋭いんだね。ホテルまで連れ込めれば俺の勝ちなのに」
なんていうことを言うんだ。
勝ち負けの問題じゃない。
「勝ちとかないです…!
じゃあ今回は神田くんの負け!」
「厳しいこと言うね」
「神田くんが変なこと言うから…!」
神田くんは平気かもしれないけれど、私は恥ずかしくなる。
「そんなに怒らないで」
「怒るもん」
「ちゃんと反省するから」
「もうすぐで電車来るから改札通ります」
本当はそこまで怒っていないけれど、意地になって彼から離れ、先に改札を通る。



