優しく触れられるのも、キスも。
初めては私だって決めつけていたわけじゃないけれど。
宮橋先生から言われたことは、ズシリと心に重くのしかかる。
「……あの、ごめんなさ…」
何しているんだろうって。
聞く前に体で拒否してしまい、どうすればいいのかわからなくなっていると───
突然体がふわりと宙に浮いた。
「……へ」
視界が反転し、神田くんの顔がはっきりと視界に映る。
足は地についておらず、その時ようやくお姫様抱っこというものをされていることに気づいた。
「あ、あの神田く…」
「拒否できない状況にしてあげる」
にっこりと、満面の笑みを浮かべる彼は怖い雰囲気を漂わせていて。
怖い、そして怒っている。
「ご、ごめんなさ…」
急いで謝るけれど、彼は許してくれる気配がなく。
私を抱きかかえながら移動し、彼のベッドの上でおろされた。
その状況に嫌な予感がしたけれど、その時にはもう神田くんもベッドの上に乗っていて。
「今からする質問に、本当のこと言わないと嫌がることするよ」
静かな声音には、脅しが含まれていた。
「……あ、の」
もう一度名前を呼ぼうと思ったけれど、神田くんが私に覆い被さった。
これでもう完全に逃げ場を失う私。
和服姿の彼は、いつもより危なさを増していて。
ドキドキと胸が高鳴る中、不安も同時に入り混じる。
「ごめんなさい…」
とにかく謝らないといけない。
そう思った私は、神田くんに謝ったけれど。
「謝罪の言葉が欲しいわけじゃないよ。そんなことよりも、白野さんが今考えていることを俺に話して」
やっぱり神田くんは気づいてしまう。
私が不安に思う気持ちに。



