「……神田くん、いいの?」


不安になるくせに、心配するような言葉をかける私は中途半端な人間。


「それは何のこと?」

少し隙間を作り、私を見つめる彼が視界に映る。


「宮橋先生の、こと…」

少し緊張しながら口を開く。
この勢いじゃないと、もう二度と聞けないと思ったからだ。


「華さん?」

「だ、だって…ふたりは先生と生徒だけの関係じゃないでしょう?」


少し声が震えそうになるけれど、必死で抑える。
けれど思わず彼のシャツをきつく掴んでしまった。


「……まあ、そうだね」
「……っ」


神田くんがさらっと認めたため、胸がぎゅっと締め付けられる。


「き、昨日も…神田くん、宮橋先生と一緒にいた……?」


聞かなければよかったと後悔するのは私なのに。
言葉が途切れ途切れになりつつも、昨日の話を彼にする。


「昨日は……確かに華さんと一緒にいたけど、どうして知ってるの?」


また彼がさらっと認め、今度は質問を返されてしまう。


「……あの、昨日見たの。神田くんと宮橋先生が、ふたりでいるところ…すぐ、車に乗ってたけど……」


もうここまできたら言い逃れはできないと思い、素直に昨日のことを話した。


「車……ああ、もしかして尾行されてた時かな」
「……え?」


私の言葉にピンときたらしく、すぐその時の状況を思い出すようにして彼は話し始めたけれど。

聞きなれない“尾行”という言葉に、違和感を覚える。