闇に溺れた天使にキスを。




「じゃあどうして警戒しろって言ったの?」

「んー、危機感持ってほしいって意味を込めてかな。
本当に警戒されたくて言ったものじゃないよ」


警戒の次は危機感?
神田くんの言葉で、さらにわけがわからなくなる。


「かわいいことされすぎたら、キスだけじゃ終わらせられないってことだよ」

「……っ」


多分、とても砕いてわかりやすく言ってくれたのだろうけれど。

今度はあまりにもストレートな言葉に顔が熱くなる。


「ほら、やっぱり照れると思った」
「だ、だって…」
「かわいい」

神田くんの指が、熱くなる私の頬を撫でる。


「……触らないで」

「ほら、やっぱり危機感がない。
そんなかわいい顔して」


楽しそうな声。
かわいい顔なんかした覚えはないのに、危機感がないだなんて。

防ぎようがない。


「……神田くん、かわいいの基準が低いよ」

こんな私にもかわいいと連呼してくるぐらいだ。
周りの女の子には、もっとかわいいと思っていることだろう。


「低くなんてないよ?
正直、かわいいと思ったの白野さんが初めて」


そうやって簡単に嘘もつけちゃうから怖い。
私が初めてだなんて、そんなことありえないのに。