闇に溺れた天使にキスを。




「あのね、その…私が、神田くんの彼女になる予定だって、言われて…それから狙われてるって。

も、もちろんそんなことはないし、誤解は解いたから安心してね…!」


なんだか自意識過剰な発言に思えて恥ずかしくなる。


「……安心できない」
「へ…」

「それを聞いて引かなかった?」
「ど、どうして引くの…?」

「嘘だったとしても、そんなこと聞いたら普通は何か思わない?」


神田くんが何を伝えたいのかわからなくて、言葉を返せないでいると、彼が話を続けた。


「嫌じゃないって捉えるけどいいの?」
「嫌では、なかったよ?」


正直、嫌だなんてまったく思わなくて。
驚きしかなかった。


「本当に警戒心がないんだね」
「……あっ、そういえば」


警戒心という言葉で思い出した。


「神田くんは私に警戒しろって言うのに、さっきはどうして警戒してほしくないような言い方をしたの?」


矛盾している彼の言葉が気になって、思わず指摘してしまう。


「後者が本音だよ」
「え……?」

「白野さんには警戒されたくない。
もしされたら、白野さんとの距離が遠くなるから」


どうやら警戒しろって言うのはすべて嘘らしい。