闇に溺れた天使にキスを。




「じゃあもうすぐ総長が来るってことだよな!?
……あっ」


足立先輩がいつもの勢いで話したかと思えば、突然青ざめた表情へと変わる。


「タメ使ってすいませんでした!
総長が来るってことですか?」

「……え、あの、やめてください。年下の私なんかに敬語なんて…」


どうしてふたりして敬語に変わったの?
理由がわからなくて首を傾げることしかできない。


「ダメですよ、白野さんは総長の女なんで。
敬いの対象です」

「総長の、女……えぇ!?私が神田くんの!?」


神田くんの彼女だなんてありえないため、首を何度も横に振って誤解を解く。


「え、違うんですか?」


目を丸くする足立先輩と平沢先輩。
本当に私を彼女だと捉えていたようだ。


「だ、だからあの、敬語やめてください…前みたいな感じで、お願いします」


神田くんの彼女も尊敬の対象になるんだ。
彼の彼女って理由だけで、関係性が変わるのは違和感しかない。


「いいのか?」

「わからねぇけど本人が言ってるなら…わかった、じゃあ敬語はやめる」


ようやく私がお願いして、敬語をやめてくれるふたり。