ひとり、教室に取り残された私。
まるでさっきまでの神田くんとの会話が全部、嘘だったかのように静かだった。
神田くんに触れられた部分も、今はもう熱が下がっている。
『これだけは覚えておいて。
白野さんはもう、今まで通りにはいかないって』
さっきの神田くんの言葉が、頭の中で繰り返される。
今まで通りにはいかない……だなんて、嘘だと思った。
だからきっと、明日になれば全てが元通りになる。
神田くんと話すことはないだろうし、関わることすらないに違いない。
それなのに……どうしてこんなにもドキドキして、期待している自分がいるのだろう。
たった一日の、さらに数十分の間で。
神田くんの謎は深まり、さらに知りたいと思ってしまう───
そんな自分がいた。