「でも一緒に登校するってことは、嫌じゃないんなよね?」
「うん…嫌じゃ、ない」
むしろ楽しみだった。
朝からワクワクするくらい。
そして神田くんが学校に来なかった間は、すごく寂しかった。
だから“嫌だ”という感情はないに等しい。
「他には何かある?
例えば一緒にいるだけで感情が左右されるとか」
「左右…?」
「うん。私の場合は彼氏といると、楽しいなぁとか幸せだなぁ、とか思う。付き合う前後は胸がドキドキしたり」
今は胸キュンなんかしていないって、沙月ちゃんは言うけれど。
まったく耳に入ってこなかった。
だって今、沙月ちゃんはなんて…?
ドクドクと、脈打つ音が速くなる気がした。
今、沙月ちゃんが言ったことすべてに該当するかもしれないと思ったからだ。
「未央…?」
「幸せとか楽しいとか、ドキドキしたらどういうことなの?」
「え?それこそ意識している証拠になるね。
相手を異性として見ているって」
「異性……」
「あー、難しい言い方したね。気になってるってこと。
それで恋だと気付いてからはもうね、すごいよ?」
自分の経験を語ってくれる沙月ちゃん。
つまり私は、神田くんに恋をしているってこと?



