闇に溺れた天使にキスを。







学校に着いて神田くんと教室に入ると、視線が一気に私たちに集まった。

最初は少しの沈黙が流れ。
それから騒がしくなる。


私と神田くんがまた一緒に登校しているから、という理由もあるかもしれない。

けれど一番の理由は、一週間以上ぶりに彼が学校に来たことが挙げられるだろう。


周りは騒がしくなるだけで、誰ひとり神田くんに話しかけることはない。

「未央、どういうこと?そろそろ怪しいんだけど。
付き合ったってことでいい?」

「ち、違います…!」


ただ、沙月ちゃんだけは別で。
席に着くなり早速質問攻めをされてしまう。


「じゃあどうして久しぶりに来た神田くんと一緒に来てるの!?」

「そ、れは…友達として」
「男女の友情は成立しないから、その言い訳は諦めな?」

「せ、成立するもん…」
「じゃあどうして学校では一切話さないの?」


ギクッとしてしまう。
鋭い沙月ちゃんは、簡単に嘘だと気づいてしまうのだ。