「もー、早速そんなかわいいこと言う。
頑張った俺へのご褒美?」

「へ……」
「その気がないのは知ってるけどさ、朝から心臓に悪いよ」

「心臓…苦しいの?」


少しだけ不安になる。
どこか体が悪いのかって。


「白野さんのせいで苦しくなった」
「私のせい、なの?」

「うん、だから責任とってね」
「責任?」
「頑張ったご褒美、ほしいな」


神田くんが私の肩に手をまわし、抱き寄せる。
一気にふたりの距離が近くなり、鼓動が速まってしまう。


「か、んだく…」

「白野さん、距離が遠いから。
もっと近くに来てほしくて」


少し照れたような、どこか幼く笑う神田くん。
ずるい、そんな笑顔。

かわいく笑われると何も言えなくなる。


「俺にご褒美はくれないの?」
「あげない」

「どうしてそんなこと言うの?俺、白野さんに早く会いたくて頑張ったのに」

「だって、私は…」


そこまで言いかけたところで口を閉じる。