「行かないの…?」
「まだ白野さんと一緒にいたいって言ったら?」
ドキッと胸が高鳴る。
ストレートな言葉。
けれど疑問形なのが少しずるい。
「……先生を待たせるのは良くないよ」
きっと、冗談。
私をからかっているだけ。
ドキドキする気持ちを抑え、平静を装う。
「真面目だね」
「神田くんのほうが真面目だもん」
いつも真面目に先生の話を聞いて、メモをとって。
制服を着崩しているところなんて見たことない。
私でも、シャツのボタンはひとつ外しているし、スカートだって折っている。
だから絶対、神田くんのほうが真面目。
「俺、こう見えて結構悪いやつだよ」
どうしてそんなことが言えるのか。
神田くんが悪い人だなんて、ありえない。



