素直に頷くと、今度は頭を撫でられる。
「じゃあ何も知らないんだ」
恥ずかしいと言ったばかりなのに。
またこうして触れてくる。
まさか神田くんが、ここまで意地悪だったなんて。
「神田くん、そろそろ行かないと…」
「もうそんな時間?
おかしいな、普段は時間が経つのが遅いのに」
時間を言い訳に、強制終了させて逃げる作戦に変える私。
じゃないと私の心臓がもたない。
時間は4時25分を過ぎようとしていた。
「じゃあ、どうしようか」
「へ……」
優しい眼差しを向けられるけれど、彼の発した言葉は不可解だ。
普通なら、席を立って先生のところへ行くというのに。
返ってきた言葉は『バイバイ』でも、『また明日』でもなく。



